愛犬の歯磨き、うまくできてますか?

インタビュアー|

今回は、愛犬の歯磨きについてお聞きしたいと思います。

村谷親男(アニーマどうぶつ病院院長)|

よろしくお願いします。これ、とっても大切な話です。

インタビュアー|

愛犬の歯磨きをしようとすると、嫌がってしまってうまく磨けているのかどうか自信がない…ということをよく聞きます。実際のところ、みんなワンちゃんの歯磨きはどうしているんでしょう?

村谷親男|

慣れていないワンちゃんは口を触られるのを嫌がる、歯を見せてくれないなどの理由で、歯磨きを諦めてしまう飼い主さんは実際多いです。

インタビュアー|

よく聞きます。

村谷親男|

小さな頃から口を触ることに慣れていないと、大人になってから歯磨きをしようとしても、嫌がられてしまいます。実際に、歯磨きをきちんとできている飼い主様は、全体の20%に満たないというのが、僕の肌感覚ですね。

インタビュアー|

歯磨きできていない飼い主さんが20%未満? そんなに少ないんですか?

村谷親男|

そうなんです。だからといって、みんなできていないから、うちも仕方ない。で済ませてはいけません。

いきなり歯ブラシから始めるのではなく、歯磨きジェルを舐めさせたり、デンタルシートを使って歯のケアを始めたいのですが、最初から歯ブラシを使おうとして挫折する飼い主さんが多くて、うまくいかないことが諦めてしまう1番の原因です。

インタビュアー|

冒頭に「とっても大切な話」とおっしゃっていましたが、歯磨きが「たまに」になってしまったり、「うまくできていない」とワンちゃんにはどんなことが起こりえますか?

村谷親男|

まずは歯垢と歯石の違いについて理解するところから。

インタビュアー|

汚れ(歯垢)が固まってしまう(歯石)ということでしょうか?

村谷親男|

そうですね。食べ物を食べたあと、歯に付着するのが歯垢です。それが時間とともに放置されると歯石に変化します。歯垢から歯石に変わるまで、48〜72時間と言われています。

インタビュアー|

歯垢が歯石になるのに2〜3日くらい、ですね。

村谷親男|

歯垢は歯磨きである程度は落とせます。しかし、歯石は歯磨きでは落とせません。歯石は簡単に言うならば、バイ菌の塊です。

インタビュアー|

そう聞くと、日々のワンちゃんの歯磨きを諦めていられませんね!

村谷親男|

だからこそ1日1回でいいので、丁寧なオーラルケアをしてあげることで、歯石が付着することをある程度、防ぐことができます。しかし、歯石を放置してしまうと歯周炎を起こします。

歯を支えている骨が溶けたり、血液中に歯周病のバイ菌が全身にまわり、様々な病気を引き起こすと言われています。

インタビュアー|

村谷先生が「大切な話」とおっしゃっていたのが、ようやく理解できました…。

村谷親男|

昔のテレビCMで「芸能人は歯が命」なんてありましたが、ワンちゃんだって同じように歯が命と言っても過言ではありません。

インタビュアー|

うわぁ、とっても大切なことなんですね。まず、現状ワンちゃんの歯磨きがどれくらいできているかって、動物病院で診てもらえばいいんですか?まずはどうすれば?

村谷親男|

まずみなさん、何か知りたかったらネットで検索すると思いますが、そこには実は「正しい情報」と「誤った情報」が混在しています。

インタビュアー|

確かに、なんでもそうですよね。調べれば調べるほどわからなくなってくることが多々あります(笑)

村谷親男|

私たちはそれを「Dr.Google」と呼んでいます。正しい情報も存在しますが、誤った情報も散見されます。なので、そこにはヤブ医者も多く存在するということです(笑)

インタビュアー|

ネット上にもヤブ医者が…。

村谷親男|

だからこそ、少しでも不安や疑問を抱いていたら、ためらわず動物病院に来てほしいです。どうぞ気軽に来てください。

動物病院は、体調不良時や予防接種のためだけに利用するのではなく、歯磨きの方法や体重チェックのために定期的に受診するなど、積極的に活用していただきたいです。

インタビュアー|

「かかりつけ医」という感じですね。

村谷親男|

そうですね。やっぱり病院とはクリニックって「何か起きた時にしか行ってはいけない」ような敷居の高さがあるのも事実です。

そういう意味で、年に数回病院に行くではなく、普段のお散歩コースとして立ち寄ることができれば、ワンちゃんも喜んで病院に入ってくれるようになります。

インタビュアー|

なるほど!お散歩コースに動物病院を入れるんですね。

村谷親男|

そこには病院側の努力も必要なんですが…。深刻な顔して待つ場所ではなくて、笑い声の絶えないカフェのような雰囲気づくりをしないと、なかなか気軽に立ち寄れないと思います。

インタビュアー|

確かに!ドッグカフェならお散歩中に立ち寄れますからね。

インタビュアー|

では、「愛犬の歯磨き」のまとめとしてお聞きしたいと思います。

インタビュアー|

飼い主さんとワンちゃんが気持ちよく歯磨きができるようになるためには、ズバリどうすればいいんでしょう?

村谷親男|

まずは、飼い主さんが愛犬の口のまわりを抵抗なく触れるようになることから始めましょう。最初から歯ブラシを使用するのではなく、歯磨きペーストを舐めさせたり、歯に触れることに慣れさせることが最初のステップです。

村谷親男|

歯磨きが楽しいものであると認識させなければ、歯ブラシへの移行は困難です。はじめから歯ブラシを行おうとせず、焦らず確実なステップを踏みながら歯磨きができるようにすることが大切です。

インタビュアー|

まずは、歯磨き前の準備みたいな感じですね。他には?

村谷親男|

また、お散歩仲間などでも良いので、歯磨き仲間をつくることもオススメです。やっぱり、色々な悩みごとの共有や、情報交換ができる人がいるといいです。

インタビュアー|

そうですね!でも、まわりにワンちゃんを飼っているお友だちがいない人も少なくないと思いますが…。

村谷親男|

アニーマどうぶつ病院では、そういう方々のために「8020CLUB」をはじめました!

WEB https://anima-ah.com/first/#vip

インスタ https://www.instagram.com/8020a.h_/

8020CLUBは「会員制の歯磨きクラブ」で、飼い主さん同士が情報共有や切磋琢磨できる場をご提供させていただいています。

もちろんここに獣医師が加わるので、正しい歯磨きの仕方も、お困りごとの相談もできます。

インタビュアー|

みんなフィットネスジムに通い始めても、仲間や専属のトレーナーがいないと続かないのと同じですね!

村谷親男|

まさしくそれです。ひとりでジムに入会してもなかなか継続は難しいですが、仲間がいて月に1回コーチがアドバイスしてくれる環境があれば楽しく続けられると思い「8020CLUB」をつくりました。おかげさまで、第1期メンバーは満員御礼で、第2期を予約してくださる方がいる状態です。

インタビュアー|

ありそうでなかった楽しそうな歯磨きクラブ、とっても気になります。次回は「8020CLUB」のことを詳しくお聞きしたいと思います!ありがとうございました。


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銀座に近い、高層マンションに囲まれた東京月島にある当院では、外国人フレンドリーなどうぶつ病院を目指しています。外国人ペットオーナーのみなさまが、どんな小さなことでも気軽に相談できる場所となるために、今後もさまざまな取り組みを進めていきます。

当院WEBサイト https://www.anima-ah.com/

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