犬と猫の健康管理:寒さ・乾燥・気圧に注意したい理由(獣医師が解説)

12月になると、寒さや乾燥、天気による気圧の変化が大きくなるため、犬や猫の体に負担がかかりやすくなります。特に高層マンションで生活している場合、外気と室内の差が大きく、季節の影響を受けやすくなることもあります。ここでは、獣医師の立場から、冬に気をつけたいポイントを医学的根拠を交えながら分かりやすく説明します。
寒さは代謝や循環器に負担がかかる

12月は気温が急に下がり、犬や猫の体温調整が難しくなる季節です。特に小型犬や短毛の猫は体が冷えやすく、温度によるストレスを受けやすいと言われています。
WSAVA(世界小動物獣医師会)の資料では、室温が20℃を下回ると体温維持のための代謝が上がり、体への負担が増えることが示されています。
寒さで悪化しやすいのは、
・関節炎や慢性的な痛み
・心臓病や腎臓病を持つ子の循環器負担
室温は 20〜24℃ を目安にし、床からの冷えを防ぐため、ベッドの下に断熱材を敷いたり、床にマットを敷いたりすると体へのストレスを減らすことができます。
冬の乾燥は皮膚トラブルを引き起こしやすい

12月は湿度が大きく下がる季節で、暖房を使うと湿度が30%以下になることもあります。獣医皮膚科学の研究では、湿度40%を下回る環境では皮膚の水分量が大きく減り、バリア機能が弱くなることが分かっています。
乾燥により増えやすい症状
・フケが増える
・かゆみ
・毛づくろいが増加
・アトピー症状の悪化
一般的に機密性の高い高層マンションでは乾燥しやすいため、湿度計を使いながら 45〜60% を保つと良いでしょう。加湿器の使用や、オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)を含むサプリメントは皮膚ケアに役立ちます。
気圧の変化で体調が揺らぎやすくなる

冬は低気圧の日が増え、犬や猫の身体にも変化が出やすくなります。
気圧が下がると自律神経に影響し、
・だるさ
・食欲の変化
・活動量の低下
が見られることがあります。
特に、関節炎を持つ犬では気圧が下がると痛みが悪化しやすいという研究報告があります。猫では気圧低下の日に活動量が10〜20%減ることも確認されています。
今は簡単に携帯で気圧アプリを手に入れることができます。「今日は気圧が低い日だから様子をよく見よう」というように、体調変化の予測につなげることができます。不調が続く場合は、痛み止めやサプリメントを獣医師と相談しながら調整することが重要です。
冬は普段の健康状態の“差”が出やすい季節

冬は体にかかる負担が多いため、普段は見えにくい症状が表に出てくることがあります。
・シニアの子の関節の弱り
・心臓病や腎臓病の悪化
・ストレスによる行動変化
など、見逃したくないサインが増えるのも12月です。
特に次のような変化が見られたら注意
✔ 以前より寝ている時間が長い
✔ 段差を嫌がる
✔ 食欲が安定しない
✔ 水を飲む量が急に増えた/減った
寒さと乾燥で体の負担が増える時期だからこそ、早めの受診や定期検査がとても大切です。
まとめ
12月は寒さ・乾燥・気圧変化という3つの要因が重なり、犬や猫の体に負担がかかりやすい季節です。これらは医学的にも体調変化を引き起こすことが知られています。
・室温 20〜24℃
・湿度 45〜60%
・床の冷え対策
・気圧変化への注意
・皮膚の乾燥対策
これらのポイントを意識することで、冬でも犬や猫が快適に過ごせる環境をつくることができます。小さな変化を見逃さず、気になる症状があれば早めに動物病院に相談しましょう。
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