都市型ペットの予防医療|高層マンションで暮らす犬猫へ
高層マンションでは爆竹や花火を使うことは基本的にありません。それでも春節(旧正月)の時期は、
来客の増加、外出(留守番)の増加、生活音や生活リズムの変化、空調による乾燥が重なり、
犬や猫の体調・行動が揺れやすくなります。
爆竹がなくてもストレスは起こる:春節に増える4つの要因
1)来客・在宅人数の増加(生活音・動線が変わる)
静かな住環境ほど、インターホン、廊下の足音、会話量の増加は犬猫にとって刺激になります。
犬では環境条件の変化がストレス関連指標(コルチゾール等)や行動に影響する研究が報告されています。
(例:慢性ストレス指標の変化)PubMed
2)外出(留守番)の増加
春節は外食・集まり・旅行で不在が増えがち。犬の分離不安や不安関連問題は、行動療法と薬物療法を含む包括的アプローチが議論されています。
PubMed
3)生活リズムのズレ(食事・散歩・就寝)
犬猫は「予測できる日常」で安定します。食事・散歩・就寝がずれると、些細な刺激への反応が強くなることがあります。
4)空調稼働による乾燥(室内環境の変化)
気密性の高い住環境では乾燥が進みやすい傾向があります。室内環境分野では相対湿度40–60%程度の中庸域が健康リスクのバランスに関わると論じられています。
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犬:嘔吐・下痢・落ち着きのなさが増える理由
春節前後に増える主訴は、嘔吐、軟便〜下痢、食欲低下、落ち着きのなさ。
「病気」ではなく「ストレス反応の表出」として起こる場合があります。
(例:犬の慢性ストレス研究)PubMed
家庭での観察ポイント(保存)
- 食欲:いつもの8割未満が続く/選り好みが急に出る
- 便:軟便〜下痢が24時間以上続く/血便
- 行動:パンティング、震え、隠れる、過剰な舐め、睡眠低下
- 刺激への過敏:インターホン、足音、エレベーター音に反応
猫:特発性膀胱炎(FIC)と環境ストレス(高層マンションは要注意)
猫で特に重要なのが猫特発性膀胱炎(FIC)です。環境ストレスが関与しやすく、
多面的環境改善(MEMO)が管理に有用であることが報告されています。
PubMed
春節シーズンに見逃したくない「猫のサイン」
- トイレ回数が増える(少量頻回)
- トイレ以外で排尿する
- 排尿姿勢が長い、鳴く、落ち着かない
- 隠れる、食欲低下
猫の“聖域”設計(MEMOの実務)
- 来客動線から切り離した静かな部屋を確保(可能なら施錠)
- 高所(棚・キャットタワー)+隠れ家(クレート/ベッド)をセットで
- 食器・水・トイレは「いつもの位置」を維持
- 人が増える日は、猫を先に“聖域”へ移してから来客対応
※排尿困難(出ていない疑い)は緊急です。迷ったらすぐ受診を。
留守番増で顕在化する分離不安(マンション対策)
高層マンションでは静かな分、留守番中の吠えや破壊が問題化しやすいです。
分離不安や音への恐怖など「犬の不安問題」は、行動療法と薬物療法を含む包括的アプローチが議論されています。
PubMed
マンションで実装しやすい3ステップ
- 短時間留守番(3〜5分)を成功させて積み上げる
- 留守番開始直後にフードパズルや知育玩具で「良いイベント」を置く
- 帰宅直後は過剰に構わず、平常運転で興奮を下げる
空調の乾燥:咳・呼吸が気になる子の室内管理
空調使用が増える季節は乾燥しやすく、咳がある子(気管虚脱、慢性気管支炎、心疾患など)では
「いつもより咳が増える」と感じることがあります。室内環境分野では相対湿度40–60%程度が中庸域として扱われています。
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湿度管理の実務(失敗しない)
- まず湿度計で見える化(体感は当てになりません)
- 目安:40–60%(過加湿は結露・カビのリスク)
- 加湿器は衛生管理(取説通りの洗浄)
誤食・事故:イベント期に増える落とし穴
イベントシーズンは普段と違う食べ物・包装・装飾が増えます。
高層マンションでも誤食は普通に起きます(テーブル上が増える/ゴミ管理が甘くなる等)。
- 人の食べ物:チョコ、アルコール、ブドウ類
- 猫:紐状のもの(リボン、袋の取っ手、飾り紐)
- 包装:ビニール、乾燥剤、串・骨
※誤食の疑いがある場合、自己判断の催吐はリスクがあります。早めに動物病院へ連絡してください。
今日からできる5つの対策(チェックリスト)
- 食事・散歩・就寝の時刻を「普段に寄せる」
- 来客前に、犬猫の避難場所を先に作る(猫は聖域)
- 留守番は短時間成功→積み上げ(知育玩具)
- 湿度は40–60%を目安に管理
- 床・テーブルを片付け、誤食リスクを物理的に消す
「様子見でいい?」で迷ったら、早めにご相談ください(アニーマどうぶつ病院)
嘔吐下痢、猫の排尿異常、咳・呼吸の変化は、早期相談が安心につながります。
受診の要否だけでもOKです。
受診の目安(迷ったらここ)
- 食欲低下が24時間以上続く
- 嘔吐・下痢が続く/血便がある
- 咳が増えた/呼吸が速い・苦しそう
- 猫:少量頻回、血尿様、排尿姿勢が長い、出ていない疑い
- 普段と明らかに違う元気消失
よくある質問(FAQ)
Q1. 爆竹がないのに、なぜ犬が落ち着かない?
春節は来客・外出増・生活音・生活リズムの変化が重なり、犬が緊張モードに入りやすくなります。
環境条件の変化がストレス指標や行動に影響する研究報告があります。
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Q2. 猫の膀胱炎(FIC)はストレスだけで起きる?
すべてがストレスだけではありませんが、FICでは環境要因が関与しやすく、
多面的環境改善(MEMO)が管理に有用とする報告があります。
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Q3. 留守番が増える時期、薬は必要?
基本は環境設計と行動療法です。重度例では薬物療法を含む包括的アプローチが選択肢になりますが、
個別の診察で判断します。
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Q4. 室内湿度はどれくらいが目安?
乾燥しすぎても湿度が高すぎても問題になります。室内環境分野では、相対湿度40–60%程度の中庸域が論じられています。
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湿度計で管理し、結露やカビが出ない範囲で調整してください。

